劇団空感演人『オサエロ』を観劇してきました!
どうも、おなべです!
先週の金曜日、人生初となる舞台を観に行ってきました!
大学時代に同じ競技で共に頑張った同期が、第2の人生の第一歩として舞台に初出演するということで、ワクワクしながら観に行きました。
観てきたのは、劇団空感演人の
「オサエロ」という舞台。
両国駅から徒歩3分、両国 Air Studio という小さな劇場でした。
客席と舞台の距離がとても近く臨場感溢れる舞台でした。
公式サイト↓↓
劇団空感演人は舞台や映像の制作企画運営の活動をしている劇団です。
「オサエロ」は期間によって出演キャストが違い、更には1日の中でも公開する班によってキャストや演じる役も変わるようです。
つまり、日にちや時間によってまた違った味の作品が楽しめるということです。
僕はまだ1回しか観に行ってないのでせめてもう1回だけでも、また違うキャストの方で演じられた「オサエロ」を観に行きたいです…。
この作品は、太平洋戦争末期、大日本帝国軍の特攻隊に配属された男たちと軍の基地で特攻隊のお世話係をする女の子たちの物語です。
※注:以下ネタバレになります↓↓
物語は、現代のワンシーンからスタート。
公園のベンチに腰掛ける1人の老夫と、その老夫に近づき声をかける若い女性。
女性は「小佐野」と名乗り、亡くなった祖母が生前に会いたがっていた「中原」という人物を探しにきたのだと言った。ベンチに座っていたのはその中原であり、小佐野は祖母から預かっていたという手紙を渡した。
中原は小佐野に手紙を読んで欲しいと頼む。少し悩んだ小佐野は、読む代わりに祖母と中原さんの過去を聞かせて下さい、祖母のことが知りたいんです!と言った。
そうして中原は口を開いて語り始めた…。
シーンが変わり、戦時中の基地のような風景に。
カバンから紙を取り出し遺書を書く男とその向かいに座る男。
座っている男が「中原」、遺書を書いているのが中原の幼馴染の「浅井」である。2人は幼い頃の思い出を語り始めた…。
幼馴染として共に過ごした少年時代を懐かしむ2人は、”特攻隊として死にゆく運命である”という戦争がもたらす悲しさを冒頭から醸していたように思う。
次に登場したのは2人の若い女性。
特攻隊訓練基地で軍人のお世話係をする「昭代」と、浅井、中原の幼馴染、「夏子」である。夏子は特攻隊に配属された2人のあとを追って軍のお世話係をしにやってきたのであった。
その後は、特攻隊で同じチームの仲間である「柴田」「岡本」「稲島」との基地での日常や、特攻隊である男の恋の運命について飲みながら語るシーンが演じられた。
中でも「柴田」は、明るくユーモア溢れるお調子者であり、このチームにおける中心的存在であるように感じられた。
物語中盤、血だらけになった柴田が運び込まれてくる。
「どうしてあんなことを書いた!」とチームの隊長である「神田」が柴田をまくし立てた。柴田が ”特攻隊は決して誉れなものじゃない” と母に当てて書いた遺書が検閲で引っかかったのだ。
柴田は、「自分は特攻隊の意義がわからない、せめて軍人として戦って死にたい!」と神田に向かって訴えた。神田は、心苦しいが俺も同じ気持ちである…と吐露した。
しかし、だからこそ特攻隊としての意義は自分で確立するしかないのだ、叱咤した。
そしてチームの仲間にだけ、少しでも生き残る作戦を伝えた。
このシーンでは、お調子者キャラの柴田が熱く真剣な眼差しで特攻の意義を訴えることで、この作品で伝えたいことの一つとしてより直接的に観客の心に刺さるように表現されていると感じられた。
ある日、夏子が基地にくると昭代は浮かない顔をしていた。それに気がついた夏子はその理由を昭代に問うた。
すると昭代は「夏子さんは2人が特攻なさったら故郷に帰るつもりでしょうけど、私は違う。特攻命令が下りお国のために死ににゆくお方を見送った後も、すぐ次の特攻される方々が来てまた送り出さなければいけない。そんな私の気持ちがあなたにはわかるの?」と慷慨して走り去ってしまう…。
そして終盤、ついにチームに特攻命令が下る。
当日の夜、出撃まで数時間。神田隊長はもうこの先は基地の外には出るな、と伝える。
数日前に仲間たちと話していた夜に、夏子のことが好きだと公言していた中原。
だが、夏子が本当に想いを寄せているのは浅井の方だ…と思っていた中原は浅井に、「お前が夏子に会いにいけ」と伝える。
しかし浅井は、「おれには貴様しかいない」と夏子には会いにいかなかった。
出撃直前、中原の機体にトラブルが起きエンジンがかからず、中原だけが出撃できない事態が発生する。中原は、自分も皆と一緒に突撃するんだ!と泣きながら懇願する。
仲間たちは中原を励ますように声をかけた。
そして自分たちを鼓舞するように神田の声の元に一団となって唱えた。
『 敵艦に特攻するまでに絶対に目を閉じるな!
最後まで目を開けていろ!
人生最後の力だ!
機体が浮くぞ!
操縦桿を抑えろ!
人生最後の力だ!
操縦桿を抑えろ!
抑えろ!抑えろ!抑えろ!! 』
中原の願いも虚しく、チームの仲間は敵地に向かって飛び立ってしまった。
夏子はうずくまる中原を力いっぱい抱きしめた…。
そして現代のシーンに戻る。
祖母と中原の過去の出来事を聞いた小佐野は、やはり手紙は中原さんが読むべきだと言い、そっとその場を去って行った。
手紙には、あの頃の夏子の想いが、青春が綴られていた。
全てを読み終えた中原は手紙をしまい、静かに唱え始めた。
敵艦に特攻するまでに絶対に目を閉じるな…。
最後まで目を開けていろ…。
人生最後の力だ…。
機体が浮くぞ…。
操縦桿を抑えろ…。
人生最後の力だ…!
操縦桿を抑えろ…!
抑えろ…!抑えろ!抑えろ!!
……
物語はここで幕を閉じました。
ざっと内容を書かせて頂いたのですが、あの2時間近い中にものすごく多くの感情が入り乱れてしまっていたもので、セリフや描写には細かいズレはあるかと思います…。
そして正直に言います。僕は舞台をナメていました。
というより、ここまで心打たれるものだとは予想だにしていなかった。
中原や浅井、柴田、夏子、その他1人1人にそれぞれの想いがあり生き様がある。
それをキャストさんたちが息を吹き込むように演じることで一つの作品となる。
ストーリー自体は映画やドラマでも似たようなものがあります。
しかし、舞台では生で、目の前で生きている作品として鑑賞することができるのです。
映画やドラマがダメなのではなく、舞台ならではの魅力があるということです。
お芝居ですが、決して芝居ではない本人たちの演技が僕に感動を与えてくれました。
そして戦争という悲劇が実際にあったこと。
平和な時代に産まれて生きている僕らには、戦争という悲しい現実がこの日本にも存在したこと、そしてその悲劇は二度と繰り返してはならないことを知る必要があります。
生まれる前の知らない時代は、色々な形で現代にメッセージとして残されているんだな、と実感しました。
僕らはそのメッセージを後世に伝え、残す義務がある。そう思いました。
だいぶ抑えて書いたつもりですがこれでも長くなってしまいました。
少しでも気になる方がいたら是非観に行ってみて下さい!
きっと何か感じられるものがあります。
以上、おなべでした!